スピリチュアルペイン(4)

- ソンダースはいう*1.「私たちは仕事,利害関係,業績といったものに関わる必要があります.なぜなら多くの人々は彼らが行なうことで自らのアイデンティティを得るからです.しかしそれよりも考慮すべきなのは次のことです.患者の内的な関心や価値はなに…

何故苦しむ者に光を賜い,心悩めるものに生命を賜うか.(ヨブ記 3:20) 何故あなたはわたしを胎から出されたのか,その時息たえれば,誰もわたしを見なかったろうに.(ヨブ記 10:18) - ヨブ記を読む.以下の箇所がとくに印象にのこる.私のことがどうであ…

スピリチュアルペイン(3)

英語のスピリット spirit のもととなった言葉はラテン語のスピリトゥス spiritus であり,それはギリシア語のプネウマ pneuma にあたる.これらの語は〈風〉〈空気〉〈息〉などを意味する.

スピリチュアルペイン(2)

スピリチュアルペインは西洋とりわけキリスト教の思想にルーツをもつ概念であり,日本における臨床には不要な概念なのではないだろうか.また仮に,非キリスト教徒である日本人にも“スピリチュアル”なペインがあるとすれば,それはどのようなものだろうか.

聖書の真理は,ここ千九百年間西欧の世界を主な舞台として発揮された.…….しかし西欧文化が,聖書の真理を全体として正しく吸収し理解し生かしえたと断定することは,できない.なぜか.まず第一に,聖書はあきらかに東洋において成立した.今日なお紛争の…

スピリチュアルペイン(1)

緩和ケア palliative care とは,がん医療における終末期医療にみられるようなケアである.緩和ケアは全人的ケア total care であり,たんに身体的苦痛 physical pain のみならず,精神的 mental,社会的 social,そして霊的苦痛 spiritual pain にたいする…

西洋哲学史(2)

『西洋哲学史』(邦訳,みすず書房)読了. 分冊2の訳者解説によれば,ラッセルの「西洋哲学史」はおもに国家の仕組みや政治・法律・教育などの制度と哲学・思想との関連をとくに力をいれて叙述し,それらをあきらかにするものだという.たとえば中世哲学で…

西洋哲学史

『西洋哲学史』を購入する(B.ラッセル.市井三郎訳,みすず書房).3分冊のうち分冊2がまるまる中世哲学にあてられていることにおどろく. 分冊1,古代哲学編を先だって読了する.プラトンおよびアリストテレスのこきおろされっぷりが新鮮だった.とくにプ…